今回は以前から交流のあるsu-zuumさんを取材させていただきました。
お仕事と並行して音楽活動をするアーティストの1人です。
ニューアルバム『ROUTINE』をリリースしたばかり、作曲の秘話や、定評の四コマ漫画など。
幅広くお聞きしていきたいと思います。
対談ロケ:コメダ珈琲
鈴木:漫画の投稿、いつも楽しませていただいてますが。
なぜ四コマ漫画を描き出したのですか?
特にDTMやDAWの使い方について題材にしているところが画期的でした。
su-zuum:小さい頃から漫画家に憧れがあって描き出したのはあるんだけど。
描くならDTMのあるあるをネタにしようと思って。
DTM始めた当初、コンプレッサーとかEQとか効果を把握できないまま使っていたことがあって。
他の人はそんなことないんだろうなと思ってDTM関係のブログ読んだら「使うと音が良くなる気がする」「音が違う気がする」とか書かれていて、「あれ、みんな同じかも」と思って。
その部分を描けば面白いかなと思って。
実際、初期に反響が大きかったのはコンプレッサーやEQの回でした。
鈴木:ヒントに繋がるのがいいですよね!
四コマはどうやって作っていますか?
また、どんな影響からこの画風になりましたか?
su-zuum:初期はipadで描いてましたね。
隙間時間を使って描いてました。
今はPCで描いてます。
最近では勝手に自分で「2日に1回掲載」って縛りを設けて、深夜まで描いてたり。
家族に心配されてに止められるほどです。笑
絵柄についてはいろんな人から影響受けてると思うけど、改めて見返すと色が薄いのは、はるな檸檬さんかなと思った。
web上だと濃い色より薄い方が見やすいかなと思って。あとメインキャラの女の子の髪型は高橋留美子さん。
鈴木:他のsnsを活用する予定はありますか?
su-zuum:twitterをメインにやってますが、今後は100回とかある程度回数を重ねたら「note」にまとめて掲載しようかなと考えてます。
ライブハウスの現在について、感じることはありますか?
su-zuum:1人での活動でライブハウスは利用してない。
ノルマがある所だと、バンドの負担が大きいですよね。
以前ライブをさせていただいた渋谷の「Last Waltz」ってお店はアーティストにギャラが出たんです。
今そこはなくなって、オーナーの方は新大久保で「ひかりのうま」というお店を立ち上げたみたいですけど。
ギャラが出るのはインディーアーティストの底上げを図るみたいな意図があったみたいで、それは凄いなと思いました。
鈴木:確かにそうですね。
稼働させるにはブッキングが必要ですが。
双方にメリットが無いと成り立たないですもんね。
su-zuum:あと、お客さんからしても。
以前twitterで見かけた投稿で「バンドやってる友達に誘われても、お金を払って立ち見で知らない対バンの演奏を見るのがきついから行かない」みたいのがあって。
そういう感じでライブハウス離れにつながってるのかなって。
鈴木:それは確かに!私も感じます。
音楽活動を促すために、自分からの営業的な電話などはしましたか?
su-zuum:ライブ出演のためにハコにブッキングのメールをしたりはしました。
さっき話題に出た「Last Waltz」とか神保町の「試聴室」とか八丁堀の「七針」とか。
あとは、多目的スペースを利用したイベントを企画しているオーガナイザーからお誘いがあったり、その後、お店の方からも依頼を頂いたりですね。
鈴木:なるほど!キッカケが特に大切になりますよね。
お店からしても稼働力は重要ですからね。
場所によって持ち込む機材は変えますか?
su-zuum:場所によって変えるというのはないけど、機材たくさん一人で持っていくのがきついですね。
だから今後はどんどんコンパクトにしていって、最終的にipadとギターだけで完結させたいですね。
鈴木:ipad!作曲にも活用してますか?
su-zuum:そうですね。
重宝しています。
ipad持つようになってから作曲は通勤途中に作ることが多いですね。
鈴木:フル活用ですね!電車で作曲!意外です!
su-zuum:朝、電車のドア両脇のスペースが確保できるか、できないかがとても重要です。笑
鈴木:確かに!あそこは、僕も通勤時にいつも狙ってます。笑
どんな音楽作成アプリを利用していますか?
su-zuum:アプリにしては少し値段は高いのですが、「Cubasis」ですね。
PCに比べて機能は限られてしまいますが、ある程度それで作ってしまって仕上げはPCの「Cubase」で行います。
鈴木:アイデアは常に手元で収められれば、広がりますよね。
現代の主流と言えますね。
su-zuum:PCと違い、起動がホント早い。
あと、通勤時間の決められた時間内に作業すると集中するから効率が上がる。
音楽に関わり出したキッカケを教えてください。
su-zuum:中学の時、友人の家にギターがあって。
「カッコイイ」って思って。
その印象が強くて、触れてみたことですかね。
それから中学校3年の時にエレキギターを購入、とことんのめり込みました。
当時はやっていたのは「ウルフルズ」「ミスチル」とかで、タブ譜買って練習しましたね。
高校からは洋楽、これも友人の影響で「レディオヘッド」「オアシス」などを良く聞きました。
この頃はロックスターやPOPスターがとにかく好きでしたね。
鈴木:同年代ですね、共感できます。
UK色が強かった時代でしたよね。
su-zuum:ですね。ブームだったと思います。
情報源は音楽雑誌や深夜番組の「BEAT UK」でした。
特に今と違いYouTubeなどの動画サービスなどはなく、ミュージシャンのPVを見たくても、気軽ではなかった。
チャートの紹介で少し見れるだけで、MTV等の録画を友達に借りたりレコード店、レンタルビデオ店などで探さなければ見れませんでした。
なので、映像に対する飢餓感が強かったです。
音楽フェスの存在もそういった情報源で知りました。
イギリスの「Glastonbury Festival」「Reading Festival」など。
そういえば、1997年ようやく日本で初の大型音楽フェスFUJI ROCKが開催しましたね。
あと、当時はなぜか「音楽の歴史」的な番組はNHKが多かった印象があるな〜。
鈴木:そうですよね!結構マニアックな音楽の歴史とかフォーカスしてましたよね。
自分も夢中になって見てました。
su-zuum:その後はエレクトロニカやアンビエントミュージックに共感しましたね。
ビートがないものとか、あるいは、フィールドレコーディングを取り込んだもの。
中でも、「エイフェックスツイン」「スクエアプッシャー」かな。
そういえば、こないだtwitterでフォローしている若い方の曲が良くて「エイフェックスツインに似てますね」
ってすでに影響があると思ってコメントしたら、意外にその方はご存じなくて。僕の時代だと、エイフェックスツインってでかい存在なんですけど今の人はエイフェックスツインに影響を受けたアーティストから影響を受けたような世代なのかなと、時代の変遷を感じました。
今、流行っているローファイヒップホップもそれと同じような感じかなと。
音楽的な特徴自体は新しくは無いけど、「Nujabes」とか「J Dilla」っぽい音とライブストリーミングを組み合わせることで、全く新しい概念で認知されている。
聞いた話なんですけどローファイヒップホップのはじまりは、外国人がYouTubeで流したミックスらしくて。
それを見ると古いアニメのシーンが引用されていたり、どこかノスタルジーな雰囲気を感じますね。
これは外国人が他人である日本人のノスタルジーをカットアップしてリメイクした世界観のようにも見えました。
それがnet上でブームとなり、主に若い世代を中心に共感が集まっているみたい。
ラジオでこれについて語る人がいて、自分が共感したのは、「人って自分のノスタルジー感だけではなく、人のノスタルジーな感覚や体験を欲している」みたいなことを言っていて。それは確かだなと腑に落ちた感じがしたね。
鈴木:時代が違うのに、違う世代ともフィーリングが会うのは面白いですね!
「vaporwave」というブームも似ている気がしますね。
su-zuum:チープなグラフィックと古い音源をリメイクして組み合わせたやつだね。
「Macintosh Plus」「James Ferraro」とかwindows95のロゴとか使ってたね。
鈴木: ありましたね!あと、このジャンルにも関係しているイギリス人DJのグループの「Greeen Linez」は日本に来日した時に、スーパーマーケットのBGMが独特すぎて、すんごい影響されたみたいです。
su-zuum:あるね、強弱の無いフュージョンぽいやつとか!
それもそういった感覚が関係しているのかもね!
鈴木:時代、時代のプロダクトは消費され続け、価値と一緒にほとんど消えていくけど、イメージの断片はこういうカタチで残っていくのは面白いですよね!作った人間もこうなるとは計算していなかったと思うし。
su-zuum:作り手もゼロからでは無いので、何らか過去からの影響もあったかのかもね。
音楽活動の今と昔について
su-zuum:一昔前だとバンドが売れるにはライブハウスで音楽会社の関係者の目に止まるのを待つとかそういう感じでしたけど、今もそういうのもあるのかもしれないけど、やり方がだいぶ変わっているだろうなとは感じます。
オーディション専用の「frekul」というプラットフォームがあって一般のオーディションと違い、曲を公開するだけなので気軽にできて、どんな音楽関係者が聞いたかが表示されるのですごいと思う。
不透明で手探りだった部分がクリアになってる感じがする。
鈴木:確かにそうですよね!アマチュアをサポートする仕組みがどんどん開発されていますよね。
最近だとバンドのマネージングをしてくれるアプリもあったり。
これは地方へのツアーや使用していない公共施設の活用などに広がるといいなと思いました。
su-zuum:アーティストが自分のプロモーションをし易くなっているよね。
サブスクリプションについてどう思いますか?
su-zuum:使ってます。
かなり便利だと思います。
権利の関係で、ないものは無いけど。
アーティストの利益は、再生回数に応じての還元方法みたいだけど。
サブスクだけでは収益が少ないというのは聞いたことがある。
鈴木:あくまでこれもPR目的という使い方でしょうかね。
音楽業界の市場について思う事
su-zuum:世界最大の音楽マーケットのビルボード全米アルバムチャートで面白いニュースがあって、CDの実売が1000枚に満たないアルバムが1位になったって(A Boogie Wit Da Hoodieのセカンドアルバム「Hoodie SZN」)。
音楽の楽しみ方が変わってきているように見えるよね。
鈴木:驚きですね!日本はまだCDの販売が重要視されていますが、国柄もあるのかもしれないですよね。
所有するという意識の高さなんでしょうね。
su-zuum:でも、世界規模で見たらライブ等を含めた音楽全体の売上は伸びてるみたいだよ。
元の水準に戻ってきているともいえるのかもしれないけど。
サブスクリプションだったりフェスだったり、音楽に触れる機会がどんどん増えていると思う。
それがかなり影響しているんじゃないかな。
鈴木:我が家でもサブスクリプションはファミリープランで使ってます。
家庭内で「これ聞いたら良かった」っていう会話の幅がかなり広がっていて。
履歴からの学習機能で、全く知らなかった音楽を気軽に発見できる楽しさが面白いですね!
作曲にAIの活用はしますか?
su-zuum:使っているよ。「ニュートロン」ってやつ。
ミックスを自動化してくれるプラグインなんだけど。
ミックスで作業的な部分が多いんだけどそこを自動化してくれる。完全に任せきりではなく補助的な使い方にはなるけど。
以前ネット記事で「AIを活用した音楽づくりで最も難しいのは作曲じゃなくて、どこで曲を終わらせるかっていう部分だ」っていうのを読んで。AIが完全に人間と同精度の作曲をするのはまだ先なんだろなと思う。
でも、AIが作ったヘヴィメタルをノンストップで流し続ける動画「Dadabots」はなかなかいいらしいよ、見てないけど。笑
鈴木:曲のアレンジパターンのラフに活用できそうですね。
su-zuum:そうだね。時短には繋がると思うよ。
このwebマガのテーマでもある旅ですが。
何かエピソードがあれば教えてください。
su-zuum:タブラ演奏家のU-zhaanの影響もあり、音楽と触れ合う目的でインドに行った事かな。
その時、現地の音を録音したりして過ごしたり。
あと、シタールを買ったんだよね。
帰国してから先生に習ってたんだけど。
難しくて!
ほんとデカイ!弾くためのフォームも大変。
まず、足裏の土踏まずで楽器を固定するのだけど、これがなかなか滑って上手くいかない。
ミズラブ(ピック)も独特な作りで、指につけるんだけど締め付けるような形になってて死ぬほど痛い!拷問みたいな感じだから。
今はもうほとんど弾いてないけど。
師事した先生も「この楽器は合理的なつくりではない」って言っていた。でもその先生凄くて非合理な部分は楽器職人の人とかに相談して円滑に演奏できるよう改造してたんだよね。
足で固定しなくて済むよう専用の台を開発したり。
チューニングしやすくするためのほかの弦楽器のパーツを付けたり。
インドでは考え方が違うのかもね。
使いやすいとか使いづらいとかはあまり関係ないのかも。
その他だと、直島が良かった。
芸術祭の時期ではなかったけど。
町おこしのため無理やりやってるみたいな感じではなくて、とにかくクオリティが高い。
アートがしっかり町と調和しているように感じた。
寺や銭湯など元からある場所を活用しているのも良い印象でした。
鈴木:それだけ生活に組み込まれていれば、定期的なイベントもやりやすいでしょうね!
自分の経験として、地域へ出向くことがあるけど。
連携の意識を理解してもらうのはホントに難しい。
直島は違うようですね!
su-zuum:今は小さい子供がいるので行けないけど。
また、直島には行きたいなあ!
あと、最近見た動画でFKJというアーティストが世界最大の塩原・ウユニ塩湖で演奏した映像はインパクトあったね!
今なら、ライブハウスでなくても、どこでもライブ配信できるからね。可能性は広がっているよね。
鈴木:以上で終了です〜。
本日はありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
今回はミュージシャンをフォーカスしましたが、いまの時代。
自立をサポートする取り組みや施策は注目されてきているように感じました。
次の時代、個人が力を手に入れやすくなると、さらに日本が活発化できるのではないでしょうか。
これからも新たなコンテンツを制作中とのこと。
今後の活動が楽しみですね。
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