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flying disc radioのWebマガジン

馬々の記

約 3 分

バンドメンバー

私は基本的に一人で音楽を作り、ライブの時も大体一人で演奏します。
その時に重要なのがフィールドレコーディングのサンプルです。
作曲時はもちろん、ライブでもフィールドレコーディングの音が大切な要素の一つで、その場のギターとボーカルだけだと自分の演奏は完成しないと思います。

作曲をしていて声とギター以外のアレンジが浮かぶ時、必要な音を自分の声やシンセ等の楽器で鳴らしてみることも出来ますがそれらは全部私自身から出てくるものです。
そうして完成した曲もありますが、それに飽きてしまうことはよくあります。
他の誰かに頼んで音を加えてもらうことも時々しますが、はっきりとしたイメージが無い場合にはフィールドレコーディングのサンプルから選んできた音と重ねてみます。

自分から出て来ない音、メロディ、リズムを持ったその断片は私にとってバンドでの他のメンバーのように曲を広げていくきっかけとなる、思いがけない視点やアイディアをくれることがあります。

バンドだと、自分以外の誰かが何気無く鳴らした音によって新しいインスピレーションが生まれることはよくあると思いますが、私の場合は自分が過去に何も考えず録音したフィールドレコーディングがその代わりになることがあるのです。
そうして自分の意図しないことや、偶然起きることが曲を一気に前進させていく現象は、一人で音楽を作る過程では貴重なことです。

自分の多くの曲に関しては、そのバンドメンバーのようなノイズサンプルが無い演奏は心細く物足りないもののように感じます。
ステージでは一人なので、「メンバー」のパートも自分で調節しながら演奏しなければないのは難しいのですが、これからも良い演奏のために色々な方法を模索していきたいと思っています。

ステージ上で自分の声を録音しているところ。 今は時間がかかるのでほとんどやらなくなったが、始めの頃はその場で自分の声を録音し、原型をとどめない程歪ませたりしながら演奏と重ねることもあった。

About The Author

Satomimagae
1989年生まれ。
東京を中心に音楽活動をするソロアーティスト。
2017年に3枚目のアルバム「Kemri」をリリース。

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