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散歩グラフィー ~第九回 キューバ編①~

約 6 分

第九回 キューバ編①
写真と文:秋房和伸

先日、新婚旅行で夫婦でキューバに行ってきた。
社会主義国なのでビザ(ツーリストカード)を事前に取ったり準備に若干手間がかかると思っていたけど、キューバ大使館領事部でのビザ取得は意外とあっさりしていた。
キューバ大使館では企業の人がビザを取りに来たりもしていて、日本の企業もキューバで仕事出来るんだなと思った。
ホテルや長距離バスも全部ネットで日本から予約できたり、意外だった。

いざ、キューバへ!
メキシコシティでのトランジットを経て、ほぼ丸一日かけてキューバの首都ハバナの国際空港に着いたのは夜の10:30。
殺風景な空港では、保安係の女性がみんなミニスカートに網タイツというスタイルなのが気になった。
外に出ると暗くて店もなにもなく、客引きのタクシーの運転手がいっぱい群がってきた。
とりあえず両替をしてからタクシーに乗ってハバナ市内のホテルへ向かうけど、あまりにも真っ暗な道が続くので若干不安になる。
真っ暗な道のところどころで、たむろしている若者たちの姿がヘッドライトに照らし出される。
日本で「maps.me」というネットに繋がらなくてもGPSだけで位置情報がわかる地図アプリをダウンロードしていたので、一応起動させて現在位置だけは確認しておく。
30分くらいで無事にホテルに到着。
無口な運転手の若者は、料金をぼったくるわけでもなく良い人だった。
グラシアスと言うと初めて笑顔を見せてくれた。

ハバナ市旧市街探索
翌朝、窓の外を見ると南国の熱気と喧騒が飛び込んできて、異国に来た気分が高まる。

ホテルの食堂で朝ご飯を食べて、さっそく外に出てみると、すぐ目の前に古い戦闘機や戦車が展示してある。
広場とか政府系の建物は整然としていて、社会主義国に来たんだなあと思った。

ただそこを少し離れると、カラフルな古い建物、クラシックカー、砂埃、腐った果物みたいな匂い、人力車、野良犬などと一緒に、多くの人々が混然と行き交っている街があった。

こちらはハバナの旧市街でも、地元の人がたくさん生活している地区。

しかし日中は日差しが強いし、湿度もそれなりにあるので、5分くらい歩くだけで汗だくになる。

子供たちはカメラを向けると撮って撮ってと言って来て、特にお金をくれと言ってきたりもしないので良かった。

この刑務所っぽいところはカフェで、入れ墨の彼らも意外とフレンドリーだった。

ハバナの旧市街は綺麗な大通りを挟んで、観光地区と地元民の地区で分かれている感じ。
貧富の差はあるだろうけど、どちらの住人も楽しくやってそうではある。
ただ、地元民の街の道ばたで会ったフレンドリーな男達と話していたら、すぐ近くにある知り合いの店が葉巻が安く買えるからと普通の家みたいなところに案内されて。
工場から直接仕入れているから安いとか言われたけど、10本で120CUC→交渉後90CUC(10,000円くらい)もするし、よくわからんなあと思いつつ、安くしてくれたし屈強な男達が入口に立っていたりもしてので、つい買ってしまった。
後で調べたら日本で買うよりは安いみたいだし、政府公認の透かしが入ったステッカーで封もしてくれたので、だまされたという感じではなさそうだけど、なんかモヤモヤする出来事だった。

観光客が多く訪れるエリアは、道路が石畳になっていたりもするけど、工事中の場所も多い。
建設中の新しいホテルとかもあって、これから段々変わって行くであろう予感をひしひしと感じた。
観光客相手にそこら中で音楽を演奏している人たちがいるけど、いかにもキューバに来たって感じがして悪くない。
ただアンプを通した音より生音でやっている方が断然良い。

レコード屋
そんなこんなで街をぶらぶらしつつ、観光客に人気のエリアの近くにあった一軒のレコード屋へ。

中に入ると、そんなに量はないけどLPもシングルも置いてある。
キューバの航空会社の販促用?EPとか、何やらいい感じの家族写真のジャケットのシングルとかをゲット。
そんな中、Raul Gomezの instrumentalのLPを発見して、日本でCDで買おうと思ってたけど買ってなかったので、即キープ。
また、来日した時にライブも観に行ってて、ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブのメンバーでもあるOmara PortuondoのLPやシングルもいっぱいあったのだけど、
特にブエナビスタみたいな音楽のレコードが欲しいわけではなかったので、いい感じのジャケのシングルを一枚だけ買った。
ただこの時はそう思ってたけど、家に帰って聞いてみて、オマラさんのレコードもっと買っておけば良かったと後悔した。
レコードはシングルが1枚500、LPが1枚1,000円均一で、思ったよりは高い。
でもキューバの音楽に詳しければ、レア盤を安くゲット出来たりもするんだろうなあ。
僕らが見ている間も欧米人のコレクター風の人が入って来て、レコードを漁ってた。

Puchito´s Record Shop
Cuba no. 568 between Sol and Muralla.

レコードを買った後、お腹が減ったのでお昼ご飯を食べることに。
音楽の生演奏とダンサーが踊っているいい感じのレストランがあったので、そこに入る。
すると注文を取りに来た店のおじさんが「ソカ、ソカ、ハポン、ハポン」と言う。
最初は何のことかと思ったけど、音楽の演奏が終わり、ワールドカップの日本戦がテレビでやるとわかり、
サッカーは特に興味ないけど、キューバのテレビで見る日本人というのは、親近感が沸いて良いものだった。
サッカーを見るためにレストランに入ってくる人も結構いて、キューバでもサッカーは人気みたい。

それからまた別の日。
ネットで見つけた、ジャイルス・ピーターソンも行ったというレコード屋に行ってみることに。
地元の人が多く住む地区を進んで行くと、入口にレコードがディスプレイされた汚いケースのある謎の施設に辿り着いた。

中に入ると、何かのパーツのようなものを売っている店とか色々あるんだけど、その一番奥にレコードがビッシリ並んだ一角が。
レコードはめっちゃくちゃホコリっぽいし、ジャケもボロいものが多いのだけど、なんかすごく良さそうなものがたくさん。
とりあえずこちらでもジャケ買い&ラウル・ゴメスの別のレコードなどをゲット。
店のおじさんは「高いところのレコードは踏み台を使っていいよ」と言ってくれたりすごく良い人で、レコードも安かった。
帰りにまた来てもっといっぱい買おうと思っていたけど、結局時間が間に合わずに買いに行けなかった。
ここでもやっぱり欧米人の観光客が一人だけ買いに来ていた。

Seriosha’s Record Shop
Neptuno No. 408(between San Nicolas and Manrique)Centro Havana

2軒のレコード屋さんで買ったレコード。

今回はこの辺りで終了。
次回もハバナについてもう少し書きたいと思う。

今回訪れたレコード屋さんのマップ
https://drive.google.com/open?id=1vA9xDy4uRFYAYjsNGFRsQEXkQiEuInE6&usp=sharing

About The Author

Kazunobu Akifusa
グラフィックデザインを中心に、映像、音楽、DJ、工作のワークショップ、フレデリック・パカ研究家などアレコレ。
音楽は秋福音とマルシア・ガルケスという二つのグループで、DJはAsufikAという名前で、Tokyo Obscure WavesというNew Waveイベントで主にやってます。
散歩と旅行と自転車、ふらふらすることを好む。

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