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flying disc radioのWebマガジン

Walk around, Background -富山編-

約 5 分

第1回
富山の数寄者現る

「何か“富山だ!”って思ったんだよね」

そう言ってはにかむスズキ氏が立っているのは、東京駅。
「FLYING DISC RADIO」を本格始動する、その最初の舞台として彼が選んだのが富山県。
昨年、夫婦で訪れた際、感じるものがあったらしい。
今回は、FLYING DISC RADIOのコンセプト“音と旅と食を通して、人と地方を繋ぐ”の
視点から富山市内を探るべく、1泊2日の弾丸視察を敢行。

北陸新幹線「かがやき」に乗り込むと、ほとんど振動もなくスーッと速度を増す。
まるで浮いているような気分だ。
車窓のビル群が急速に後ろに流れ、日本海や山郷の風景が前から押し寄せてくる。
普段の慌ただしい生活から、距離も気持ちも引き剥がされる感覚は、
FLYING DISC RADIOのために必要な儀式なのかもしれない。

正午過ぎに富山駅に到着。ホテルにチェックインしたのち、まずは野村斗萌さんに会いに行くことに。

野村さんは富山市内で働く女性で、スズキ夫妻の以前からの知り合い。
音楽やアートイベントに詳しいとのことで、今回ナビゲーターをお願いすることに。
地元を肌感覚で知っている人の意見は、大変ありがたい。

「市内のイベントスペースといえば、HOTORI×ほとり座、DOBU6(ドブロク)、スケッチがお薦めです。
それぞれが地元にこだわって独自のイベントを企画していますよ」
3カ所とも市内南の繁華街にあるということで、散策がてらまずは「スケッチ」を目指す。

野村斗萌さんとパチリ。お仕事中にも関わらず、気さくに話をしてくれた。普段はショップ店員で、話の合間にさりげなく富山の特産品を薦めてくれた。流石!

富山市内は道が平坦なためか、路面電車やレンタサイクルが発達している。が、ここは敢えて徒歩で。
駅から南に伸びる大通りを歩くと、通り沿いに富山県庁や、美術館、富山城などが次々と現れる。
徒歩20分圏内に主要機関がそろい、ほどよくコンパクトな印象。

繁華街は、かつて富山城の外濠だった場所にある。
3つの商店街からなり、大きなアーケードが走っている。
そのひとつ、総曲輪(そうがわ)の裏路地にあるのがギャラリー「スケッチ」だ。

“好きなことをしているだけなんです”

「スケッチ」の概観。白壁、年季の入った窓枠、ブルーのサンルーフのコントラストが印象的。

「スケッチ」は、大きな看板を掲げてはいないが、表側が一面ガラス窓なのが特徴。
隣接する民芸店「林ショップ」の店主・林悠介さんがオーナーとのことで、中を見せてもらった。
白い壁のシンプルな空間だが、一角に板が重ね貼りされていたり、バルブに着彩されていたりと、センスを感じる。
木製のテーブルなどの家具も可愛らしい。
これが丸見えの状態で展示やライブが行われるというのだから、通りがかったら絶対に気になるだろう。

「スケッチ」の内部。
窓辺のガラスコップや花瓶が陽ざしに輝いて、ついつい見とれてしまう。

「スケッチは貸しギャラリーではなく、私をはじめ数人のメンバーで話し合って企画を
決めています。メンバーはデザイナーやフランス語教師など、バラエティ豊かですよ」
かくいう林さんも元々は鋳物の原型作家で、写真を撮ったり絵を描いたりと多彩な方。
林ショップの店内にも、民芸品に紛れて林さんが手掛けた作品が飾られている。
丸っこくてほのぼのとした表情の動物の鋳物は、林さんの人柄が表れているようだ。

「好きなことをしているだけなんですよね(笑)。
林ショップも、別の方がやられていた民芸店を、縁あって譲り受けまして。スケッチもその延長上で始めちゃいました」
照れながらそう言うけれど、全国をめぐって直接買い付けたガラス細工や食器、レジ近くに並んだ絵本など、
ただの“好き”では片付かないこだわりに満ちている。数寄の探究者なのかもしれない。

「林ショップ」にいると時間を忘れてしまいそう。どんな品物が並んでいるかは、自分の目で確かめて。
最後に、林さんと記念写真。暑さと眩しさで厳しい表情の二人(笑)。

「富山を楽しんでくださいね」と見送られる我々、
その手にはしっかり林ショップの紙袋が握られていたのだった。

(つづく)

今回の戦利品。紙袋の「林」マークもニクイ

 

林ショップ・スケッチ
富山県富山市総曲輪2-7-12

告知
次回は、富山のイベントの仕掛け人のインタビューを掲載!

About The Author

Motoko Nakatomi
九州出身、中央線在住。
雑誌編集の姿を借りた音楽バカ。
たまーに、FDRでDJをしています。
最近は、クレーンの写真狩りに夢中。
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