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flying disc radioのWebマガジン

馬々の記

約 2 分

コラム10月 ツアー2
山の中

前回書いた神戸での演奏後、9月から10月始めにかけて毎週末ライブがあり忙しい日々を過ごしました。
山梨のヴィレッジ白州で行われたマノスというテクノイベントでは、神戸に続き2度目の野外ライブを経験しました。
神戸では海辺でしたが、今回は山の中でした。

夕方頃からイベントが始まり、日が沈む前後に出演しました。
気温がどんどん下がって来て唄っている自分の息が白かったのを覚えています。
通常のステージとは大分異なる環境で演奏するのは難しかったですが、
暗い山の中に自分の音楽が響き渡るのだけが聞こえて、自然の中に吸い込まれるような感覚を味わいました。

演奏が終わってしばらく他の出演者を聴いた後、疲れて一度部屋に戻りました。
眠ろうとしても寒さでなかなか熟睡できないまま、目が醒めると悪夢の中で聞くような
歪んだ音楽が鳴り響いていて惹きつけられ、ぼーっとしながら聴きに行きました。
演奏していたのはCarre という2人組でした。

朝の2時か3時頃だったと思いますが、多くの人がそこに居て自由に過ごしていました。
鳴っている音楽は決して明るく穏やかなものでは無いですが、
夜眠れず目が覚めて起きて行くと他の人達が火に当たったり踊ったりしながら音楽の周りに集まっているというのは、
不思議な安心感があり素敵なことだと思いました。
普段音楽は一人で聴く方が好きですが、その時は自然の中で他の人達と音楽を共有する感覚、
1人きりで部屋にいては体験できない音楽の楽しみ方を改めて知ったような気がしました。
印象に残る夜になりました。

翌日の昼頃再び演奏させていただきました。
夜と違って、周りの森や聴いている人達が見えます。
殆どの人がテクノ、電子音楽を求め踊りに来ている中、
自分の音楽が邪魔にならないかと内心思っていましたが、
思ったより多くの人が耳を傾けてくれているようで有り難かったです。

山での初めての演奏は無事終わりました。

About The Author

Satomimagae
1989年生まれ。
東京を中心に音楽活動をするソロアーティスト。
2017年に3枚目のアルバム「Kemri」をリリース。

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