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flying disc radioのWebマガジン

アクリル絵の具を溶きながら

約 3 分

「納豆の呪い」

私は絵描きとして長年仕事をしている。
そのため、最近のアートや、最近仕上げた絵本の事などを綴っていこうかと思ったのだが、今回は食について書いてしまった。
なぜかというと、料理は1番身近なクリエイティブな事、だから(とタモリが言ってました)。

私には1才の娘がいて、彼女は卒乳を期に、食欲が旺盛になった。

特に生のフルーツが大好きで、イチゴや桃やサクランボやバナナなど、ペロリと平らげてしまう。
あ、イチゴ高かったな…なんて思っては行けない、だって母親だもの。
いいの、食べて。

しかし娘も高価なものばかり好むわけではない。
日本人の冷蔵庫には大抵入っていてお手頃価格の納豆も大好き。

納豆は毎晩夕食に出しており、娘も夕飯には納豆があって当たり前だといった様子で、「 あっとう!」(納豆)と口に出して催促するようになった。
苦手なものも納豆に混ぜるとぬちゃぬちゃと完食するので、納豆の驚異的威力にたまげた。納豆様様である。

 

娘の小さな口に最も最適なのは、ひきわり納豆。
娘も「ひきわりじゃないといや」と言った様子で粒が大きい納豆には手を付けない。
小さい歯に対して、あのひきわり具合がちょうどいいのだろう。

しかし、ひきわり納豆を好む大人はあまり多くないのではないだろうか。

大人の皆さん、 大粒のこだわりの豆で作られた納豆のほうが好きではないですか。
(いやいやひきわり納豆が一番すきだよ、 という方は勝手に少数派とさせていただきます。)

かくいう私も、ほくっとしてぶりんとした大粒の納豆が大好き。

 

きっかけは、20代前半の頃である。
その頃に働いていた派遣先の女先輩が、ランチタイムにこんな事を言っていた。

「食卓にもし小粒納豆がでてきたら、私ぶちキレるわ! 大粒じゃないとだめ!」

その頃の私は、納豆の粒サイズに対して何のこだわりもなく、なんでも気にせずに食べていた。
そんな状態なので、案の定女先輩の納豆の粒のこだわりっぷりに度肝を抜かし、さらにもし女先輩に小粒納豆を間違えて渡してしまってキレられたら怖い、という恐怖心も増し、私もその日から納豆の粒を意識するようになったのである。

この先輩に出会ってなければ、私はわざわざ大粒の納豆を買ったりはしなかっただろう。
または、誰かにキレられるのが恐ろしいので、大粒の納豆が好きなふりをしているだけ、という可能性もある。

その謎は未だ解明出来ずに、今日も娘と一緒にネチャネチャと納豆を頬張った。

娘はひきわり、私は結局小粒であった。

そんなこんなで納豆の呪いにかかっている私は、納豆を家で作る事に挑戦した。

そのお話はまた次回。

ごきげんよう。

About The Author

Junko Kawashima
伊豆大島出身。
美術短大在学中よりイラストレーターとして活動。
CDジャケット、雑誌、文庫本表紙、壁画、アパレル系など
様々なイラストを手がける。
初の個展はアメリカのノースカロライナ州。
その後香港やマレーシアなど様々な場所で作品の発表を続け、
現在は子育てをしながら絵本を制作中。

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